最終更新日:2026年10月14日
CATツールとは?翻訳支援機能と導入時の比較ポイント【2026年最新版】

CATツールは、原文と訳文を対応させながら翻訳を進め、過去の訳文や用語、点検機能を利用するための翻訳支援ツールです。機械翻訳を呼び出せる製品もありますが、CATツールそのものを、文章を自動で翻訳する機能だけと考えると導入の目的が曖昧になります。
選定では、対応するファイル、翻訳メモリ・用語集、QA、共同作業、契約条件、データの引き継ぎを確認しましょう。この記事は用語集や翻訳メモリの仕組みの詳しい解説から一歩進み、担当者が道具を比較し、小さな試行から業務に導入するための手順を整理します。
翻訳のご相談・お見積もりはこちら
- 1998年創業・官公庁や企業に対応
- 44言語・方言に対応
- 2つの品質プランをご用意
- 納品後3か月無償修正に対応
翻訳からWeb制作・DTPまで対応
翻訳からWeb制作・DTPまで対応
CATツールとは?翻訳を進める作業環境をまとめるもの
CATはComputer-Assisted Translationの略です。一般的な作業画面では、原文を文やまとまりに分け、対応する訳文を入力・確認します。過去の対訳や用語の候補を参照したり、数字やタグなどを点検したりしながら作業を進めます。どの機能が使えるかは製品とプランによって異なるため、実際に必要な作業を基準に比較してください。
翻訳メモリは確認済みの原文と訳文を保存して再利用する仕組み、用語集は名称や専門語の訳し方をそろえる資料です。CATツールはそれらを作業画面へつなぐ役割を持ちます。仕組みの違いは翻訳メモリの解説と翻訳用語集の作り方も参照してください。
機械翻訳を連携できる場合は、自動で作られた候補と、確認済みの対訳を区別します。候補が表示されたことと、そのまま採用できることは別です。文脈、版、対象製品、用語のルールを確認して採用し、確定した訳文だけを再利用するデータへ反映する方針を決めると、未確認の内容が広がるのを抑えやすくなります。
すべての翻訳業務に同じ導入効果があるわけではありません。改訂の多い文書、繰り返しのある技術資料、複数人で同じ用語を使う案件などは検討しやすい用途です。一方、短い単発の文章では設定や操作の学習が作業の大きな部分になることもあります。まず現在の困りごとを挙げ、それをどの機能で解決するかを整理しましょう。
導入前に現在の翻訳工程と困りごとを書き出す
最初に、原稿の受け取りから納品までの工程を書き出します。原稿整理、翻訳、用語確認、校正、文字入れ、依頼者の承認、修正反映のうち、どこで時間がかかり、どこでミスが起きるかを確認してください。ツールを選ぶ前に問題を具体化すると、見栄えのよい画面や機能数だけに引っ張られずに比較できます。
たとえば、改訂のたびに前回の訳文を探すのに時間がかかるなら、対訳の検索と更新が候補になります。複数の翻訳者で表記が違うなら、用語の共有と確認ルールが候補です。最終データの文字が欠けるなら、ファイルの取り込み・書き出しとタグの管理を検証します。課題と検証項目を一対一で対応させましょう。
担当者も整理します。ツールの管理者、翻訳者、レビュー担当者、原稿責任者、納品データの編集担当者がどの画面を使うかを決めてください。依頼者が直接ツールを使わない場合も、コメントや対訳をどの形式で受け取るかを確認します。全員に同じ権限を渡すのではなく、必要な作業ができる役割を設計することが大切です。
導入の判断基準は、現在の作業時間、修正件数、書き出しの失敗、用語の不一致などから選びます。翻訳速度だけを測ると、準備や確認へ移った負担が見えません。原稿を取り込んでから最終納品を承認するまでを対象にし、使い方を覚える期間と通常運用の期間を分けて評価してください。
対応ファイルは取り込みと書き出しをセットで試す
対応形式の一覧にWordやExcelがあることだけで、現在のファイルをそのまま扱えると判断しないでください。コメント、非表示の情報、図形内文字、結合したセル、フィールド、画像などの扱いをサンプルで確認します。原稿を読み込めても、必要な部分が抽出されていなければ、翻訳対象が抜ける可能性があります。
翻訳しない部分も指定します。製品コード、URL、変数、プログラムのキー、承認済みの名称などは、文字として見えても変更しない場合があります。抽出の設定やタグとして保護する方法を確認し、翻訳者がどこを編集できるかを明確にしてください。変更しない対象が多い案件では、設定の再利用ができるかも比較のポイントになります。
試行では取り込み、翻訳、QA、書き出し、元のアプリでの表示まで進めます。書き出したファイルを原文と並べ、段落、表、参照、図、リンクが保たれているかを確認してください。中間形式で正しく見えても、最終的なWordやWebページで崩れている場合は、その調整を含めて必要な作業を評価します。
PDFが主な原稿なら、編集できる元データを入手できるかを先に確認します。画像だけのPDFは文字の抽出やOCRの確認が必要になり、CATツールの選定だけでは解決しません。形式変換をどこで行うか、変換後の原稿を誰が確認するかを決めると、翻訳工程へ不完全な文字原稿を渡すのを防ぎやすくなります。
| 原稿 | 取り込み時の確認 | 書き出し時の確認 |
|---|---|---|
| Word | 脚注・表・対象外コメント | 見出し・相互参照・ページ配置 |
| Excel | 対象セル・コード・数式 | セル対応・書式・シート構造 |
| Web・アプリの文字 | キー・変数・タグ・文字列の文脈 | 表示・リンク・変数の動作 |
| PDF由来の原稿 | 文字抽出・OCR・読む順番 | 訳文と元ページの対応 |
翻訳メモリ・用語集の連携は品質と権限も確認する
既存の対訳を読み込む前に、版、分野、対象言語、承認状態を整理します。古い製品の説明や未承認の訳文をまとめて登録すると、候補を探す時間は減っても、確認すべき内容が増えることがあります。どの対訳を参照用にし、どの対訳を確定後に更新するかを分け、データの用途を明確にしてください。
用語集では、原語と訳語だけでなく、定義、使う文脈、禁止する表記、承認者も確認します。複数の分野で同じ原語が別の意味になる場合は、案件に合う用語集を選びます。ツールに入れられる項目と、翻訳者の画面に表示される項目を試し、判断に必要な説明が実際に読めるかを確認しましょう。
共有データを更新できる人と、参照だけできる人を決めます。レビュー前の訳文がすぐ共通メモリへ入るのか、承認後に入れる設定があるのかを確認してください。用語の修正も、誰でも変更できる状態にせず、変更理由と承認の記録を残す方針を決めると、複数案件で同じデータを使う際に判断を追えます。
データの共有範囲は、同じ会社内か、特定の案件か、外部の翻訳会社までかを確認します。取引先の名称や未公開の情報を含む対訳は、別の案件へ候補として表示してよいかも検討してください。作業ファイルのアクセス権と、蓄積した対訳のアクセス権を別々に確認することが、継続運用では必要です。
QAは設定と結果の確認方法まで比較する
QAはQuality Assuranceの略で、CATツールでは数値、用語、タグなどの問題を点検する機能として使われます。点検できる内容や設定は製品ごとに異なります。警告が少ないことだけを品質の高さと判断せず、どの項目を対象にし、どの例外を許可し、誰が警告を確認するかを決めてください。
Phraseの公式QA案内でも、原文と訳文、用語、スペル、タグなどを設定に沿って確認する仕組みが説明されています。これは意味全体の正しさを自動で保証するものではありません。否定、条件、主体、文脈の違いは、原文を読んで照合する担当者の確認も必要です。形式の点検と内容の点検を組み合わせましょう。
試行用の原稿には、意図的に数字違い、用語の不一致、不要な文字、タグの欠落を入れて、どの警告が出るかを確認できます。実際の業務で起きやすい誤りを選ぶことが大切です。警告が出なかった場合は、設定が無効なのか、その種類を検知しないのかを調べ、必要なら別の点検工程を追加します。
警告を無視できる設定がある場合は、その理由を残す運用も検討します。数字の表記を意図的に変える場合など、警告が正当な変更を指していることもあります。すべてを機械的に修正するのではなく、問題の有無と根拠を確認します。最終書き出し後に修正した場合は、再度QAと表示確認を行ってください。
翻訳のご相談・お見積もりはこちら
- 1998年創業・官公庁や企業に対応
- 44言語・方言に対応
- 2つの品質プランをご用意
- 納品後3か月無償修正に対応
翻訳からWeb制作・DTPまで対応
翻訳からWeb制作・DTPまで対応
共同作業ではレビュー・コメント・変更履歴を試す
複数人で作業する場合は、担当範囲を割り当て、翻訳中、レビュー中、確定などの状態を管理できるか確認します。同じ部分を同時に編集した際の扱い、確定した訳文を変更する権限、担当者の交代手順も試してください。案件が増えるほど、どの訳文を誰が確認したかが分かる状態が必要になります。
コメントには、原文への質問、訳語の相談、修正指示を分けて記載するルールを決めます。質問の回答がコメント画面だけに残り、訳文や用語集へ反映されないと、次の案件で同じ確認が必要になります。解決したコメントを閉じる前に、修正対象と共通データへの反映を確認する運用にしましょう。
レビュー担当者がツールを使わない場合は、対訳ファイルや修正一覧を渡す方法を確認します。外部で直した内容を戻すときに、段落やセグメントの対応が保たれるかを試してください。メールで届いた修正とツール上の修正が競合しないよう、最終的にどちらを正とするか、反映する担当者を決めておくことが大切です。
製品の更新方針も確認します。たとえばPhraseは公式案内で、デスクトップエディターが2025年10月に保守モードへ入り、最新機能にはWebエディターを推奨しています。過去の紹介記事の画面だけで選ばず、現在使う版、サポート、今後の運用形態を公式資料で確認してください。
料金・ライセンス・データ管理は合計の負担で比較する
費用は契約料金だけでなく、利用人数、必要な権限、機械翻訳の利用量、追加サービス、サポートを確認します。製品によって買い切りや継続契約、利用量による費用などの条件が異なります。価格は変更されるため、導入時点の公式見積もりや契約条件を確認し、自社の月間作業量に当てはめて比較してください。
翻訳者用の画面を利用できても、案件管理や共有メモリの管理が別契約の場合があります。社内で何人がどの役割を使うかを整理し、外部担当者を追加する条件も確認します。繁忙期だけ人数を増やす場合や、担当者を交代する場合の扱いまで確認すると、運用開始後の不足を減らしやすくなります。
データについては、保管場所、アクセス権、外部連携、学習への利用、削除、バックアップを確認します。クラウド型か端末で使う型かだけで安全性を一括して判断しません。実際に使う契約と設定、機械翻訳などの連携先を含めて、社内の原稿管理ルールに適合するかを確認してください。
操作の学習、初期データの整理、原稿の変換、定期的な管理にも時間が必要です。導入担当者だけが使い方を知っている状態では、担当者が変わると運用が止まります。よく使う設定と作業手順を記録し、質問できる窓口と、設定を変更してよい人を決めることまでを導入の準備に含めましょう。
小さな試行で導入を判断する手順
試行には、実務を代表する短い原稿を選びます。繰り返し、改訂箇所、表、専門用語、翻訳しないコードなどを含めると、必要な機能を確認できます。実データの利用が認められない場合は、同じ構造を持つ架空の原稿を作ってください。簡単な文章だけで比較すると、本番で必要な設定を試せません。
同じ条件で二つ程度の候補を試し、準備、翻訳、レビュー、書き出し、修正の時間を記録します。翻訳者と管理者の感想を分け、どの操作が分かりにくかったかも具体的に記録してください。慣れによる差が大きい場合は、短い練習の後に評価用原稿を処理すると比較しやすくなります。
試行の最後には、次の担当者へ渡す納品物を作ります。最終ファイル、対訳、用語集、QAの確認記録、未解決事項がそろうかを確認してください。作業画面の便利さだけで判断せず、依頼者の修正を受け、最終版へ反映し、承認まで進めることができるかを検証します。
導入を見送る場合も、理由を残すと次の検討に役立ちます。原稿の形式、費用、権限、取引先の環境、学習の負担など、どの条件が合わなかったかを記録します。導入する場合は、いきなり全案件へ広げず、確認済みの形式と担当者で始め、問題を整理してから対象を増やしましょう。
| 試行項目 | 記録する内容 | 判断すること |
|---|---|---|
| 取り込み | 対象文字・除外文字・準備時間 | 必要な原稿を扱えるか |
| 翻訳とレビュー | 用語・候補・質問・権限 | 担当者が確認を進められるか |
| QA | 設定・警告・例外・未検出の誤り | 追加の点検が何か |
| 書き出しと引き継ぎ | 最終表示・データ形式・移行結果 | 納品と次回改訂まで使えるか |
外注先を変えるときのデータ引き継ぎを決める
導入時点から、契約を終了したときや翻訳会社を変えたときに何を受け取れるかを確認します。原稿、最終訳文、対訳、用語、コメント、承認情報のうち、引き継ぐ対象を一覧にしてください。作業終了後に必要なデータを指定しようとすると、追加作業や利用権の確認が必要になる場合があります。
TMXやXLIFFなどの形式が使える場合も、対応すると書いてあるだけで十分ではありません。出力したデータを移行先へ読み込み、言語、原文と訳文の対応、タグ、付随情報がどう扱われるかを試します。共通形式でも製品ごとに保存できる項目が異なることがあるため、移行後の内容を確認してください。
データの利用権と共有範囲は、発注時に確認します。翻訳会社が保有する他案件の対訳と、依頼者の案件から作成したデータを混同しないようにします。引き継ぎ用には承認済みの対訳を整理し、未確認の候補や古い版を区別して、移行先の担当者が用途を判断できる説明を付けましょう。
CATツールを導入すること自体が目的ではありません。改訂や共同作業を、確認できる状態で進めることが目的です。自社で運用する範囲と外注先に任せる範囲を決め、最終ファイルの確認を残した工程を設計してください。検収の具体的な手順は翻訳チェックの解説も参考になります。
ファーストネット翻訳サービスへ相談する場合
株式会社ファーストネットジャパンは1998年創業。ファーストネット翻訳サービスでは英語・中国語・韓国語をはじめ44言語・方言に対応し、用途、専門用語、表記、数値や固有名詞などを確認して翻訳をご提供しています。原稿の内容と必要な品質に応じて、スタンダードとハイクオリティの2つのプランからご相談いただけます。
| プラン | 基本単価の例 | 品質の考え方 |
|---|---|---|
| スタンダード | 日→英・中・韓:原文1文字10円〜(税別) | 通常の品質要件に対応する基本プラン |
| ハイクオリティ | 日→英・中・韓:原文1文字17円〜(税別) | 翻訳後のネイティブチェックを含むダブルチェック体制 |
この単価はすべての言語に共通する料金ではありません。翻訳の方向、分野、文書の状態、納品形式、希望納期で見積もり条件が変わります。最低料金は1案件20,000円(税別)です。主要16言語の単価は公式料金表で確認でき、それ以外の言語は個別見積もりとなります。原稿と対象言語を確認してから、必要な工程を整理します。
翻訳に加え、Illustrator・Photoshop・InDesign・Word・Excel・PowerPoint・Figmaなどへの文字入れ、DTP、多言語ホームページ制作、システムやアプリへの反映も相談できます。翻訳のみ、文字入れ込み、Web実装込みを同じ作業とせず、どこまでを依頼するか、確認用PDFや編集用データが必要かを共有してください。元データの状態によっては再制作などの工程が必要になるため、納品物の条件を先にそろえます。
納品後3か月は、合意した翻訳条件の範囲で無償修正に対応します。原文の変更、別の用途への作り替え、追加ページや新しい言語の制作は、元の修正と分けてご相談ください。初回は、原稿、使用目的、対象地域、希望納期、必要なファイル形式を添えてお問い合わせいただくと、対応範囲を確認しやすくなります。
見積もりでは、文字数やページ数に加え、用語集や参考資料の有無、編集可能なデータ、画像内文字、確認担当者と校正回数も共有してください。複数言語に展開するときは、共通の原稿を確定したうえで、それぞれの地域に必要な表記と表示領域を確認します。社内の承認を受けた名称や用語を早めに伝えることで、後工程での差し戻しを減らしやすくなります。
よくある質問
CATツールと機械翻訳は同じですか?
CATツールは対訳の編集、再利用、用語確認、QAなどを支援する作業環境です。機械翻訳を連携できる製品もありますが、表示された候補を確認して採用する工程は必要です。
CATツールを導入すると翻訳の品質は自動で上がりますか?
品質はデータ、設定、翻訳・レビューの運用にも左右されます。古い対訳や未確認の用語を使えば問題が広がる場合もあるため、承認済みデータと原文照合を組み合わせてください。
無料のCATツールでも業務に使えますか?
対応形式、共有、サポート、データ管理、利用条件が業務に合うか確認します。無料か有料かだけで決めず、取り込みから納品・引き継ぎまでを小さな原稿で試してください。
QA機能だけで誤訳を見つけられますか?
設定に沿った数値・用語・タグなどの点検に役立ちますが、意味全体を保証しません。否定、条件、主体、文脈は原文と訳文を読む担当者による確認も必要です。
WordやPDFをそのまま扱えますか?
製品とファイルの状態によります。対応形式の一覧を確認し、表・脚注・画像などの取り込みと書き出しを試します。画像だけのPDFにはOCRや原稿確認が必要になる場合があります。
翻訳会社を変えるときにデータを引き継げますか?
契約と対応形式を確認し、引き継ぐ対訳・用語・承認情報を先に決めます。共通形式でも情報の扱いが異なる場合があるため、出力と移行先への読み込みを実際に試してください。
まとめ
CATツールは、原稿、データ、担当者、点検、納品をつなぐ道具として比較しましょう。対応形式と機能数だけで決めず、現在の困りごとを検証項目にして、最終ファイルまで作る小さな試行が役立ちます。
承認済みの対訳と用語、更新権限、QAの例外、引き継ぎ条件を決めることで、継続した翻訳業務へ導入しやすくなります。ツールの便利さと、意味・最終表示を確認する担当者の工程を組み合わせて運用してください。
翻訳のご相談・お見積もりはこちら
- 1998年創業・官公庁や企業に対応
- 44言語・方言に対応
- 2つの品質プランをご用意
- 納品後3か月無償修正に対応
翻訳からWeb制作・DTPまで対応
翻訳からWeb制作・DTPまで対応
参考資料
製品機能や公的な要件は2026年10月14日に公式資料を確認しています。利用する環境や提出先の条件に合わせて確認してください。
